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[Live Information]

> April 1, 2013

ヴィニシウス・カントゥアリアが参加!『トリオ・エストランジェイロス』来日公演のお知らせ。

"ずっと昔から知っているみたい"な三人が日本のために結成したスペシャル・ユニット『トリオ・エストランジェイロス』。訳すと「異邦人トリオ」。ふたりのブラジル人とひとりのニューヨーカー。ヴィニシウス・カントゥアリア、ダヂ、そしてジェシー・ハリス。ジェシーはノラ・ジョーンズのブラジルツアーで、ダヂの知己を得、ダヂを介してヴィニシウスと友人となる。ほどなくジェシーは、自身のアルバム『サブ・ローサ』をリオで録音し、ダヂ、ヴィニシウスの双方を制作に招き入れ、そのお返しとばかりにヴィニシウスは最新作『アパート暮らしのインヂオ』(SONG X 012)でジェシーと共作・共演を果たす。よほどウマがあったのだろう、急接近ともいうべき親密ぶりだ。リオとNYの往還のなかで結ばれた友情が産んだスペシャルユニット、日本でしか見れない貴重な公演をお見逃し無く!

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トリオ・エストランジェイロス 公演概要

[ 出 演 ]

 ジェシー・ハリス (Vo, AG)
 ヴィニシウス・カントゥアリア (Vo, AG, Drums, Percussion)
 ダヂ (Vo, AG, EG, Bass)

[ 主 催 ]株式会社 ヒルストーン
[ 協   力 ]株式会社 ソングエクス・ジャズ

[ 公演日程 ]

 5月26日(日)横浜 THUMBS UP  開演  20:00 (開場19:00)
 5月27日(月)名古屋 CLUB QUATTRO 開演19:30 (開場18:30)
 5月29日(水)広島 CLUB QUATTRO 開演19:30(開場18:30)
 5月30日(木)梅田 CLUB QUATTRO  開演19:30(開場18:30)
 5月31日(金)京都 磔磔  開演19:00(開場18:00)
 6月 3 日(月)渋谷 duo MUSIC EXCHANGE 開演20:00 (開場19:00)

[ チケット料金 ]

 前売 6,000円 (税込)  整理番号付き/全自由
 入場時にドリンク代として別途500円が必要になります。
  但し、京都・磔磔は600円、サムズアップは着席後、オーダーが必要になります。

[ チケットご購入方法 ]

 ヒルストーン社のウェブ・サイトのよりご購入が可能です。

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サウダージは「友」のなかに


トリオ・エストランジェイロス。訳すと「異邦人トリオ」。ふたりのブラジル人とひとりのニューヨーカー。ヴィニシウス・カントゥアリア、ダヂ、そしてジェシー・ハリス。ふたりのブラジル人が知り合ったのは75年のことだそうだが、3人揃って親交を結ぶようになったのは2011年。さほど古い話ではない。

 ジェシーはノラ・ジョーンズのブラジルツアーで、ダヂの知己を得、ダヂを介してヴィニシウスと友人となる。ほどなくジェシーは、自身のアルバム『サブ・ローサ』をリオで録音し、ダヂ、ヴィニシウスの双方を制作に招き入れ、そのお返しとばかりにヴィニシウスは最新作『アパート暮らしのインヂオ』(SONG X 012)でジェシーと共作・共演を果たす。よほどウマがあったのだろう、急接近ともいうべき親密ぶりだ。

リオとニューヨーク。その往還のなかで育まれた友情の結晶として、この「トリオ・エストランジェイロス」は生まれた。ジェシーの『サブ・ローサ』、ヴィニシウスの『アパート暮らしのインヂオ』は、ともに「異邦人」として異国で音楽をつくること自体をテーマとした作品ということができる。そこでふたりはそれぞれのやり方で、異国の地で感じるよるべなさや郷愁を、さらには母国というもののしがらみや鬱陶しさから逃れた、いっそ諦念にも満ちた晴れがましさをも表現した。ふたつのアルバムは、なるほど、まるでリオとニューヨークを合わせ鏡にしたかのように響きあう。
 
ブラジル音楽好きならお察しのとおり「エストランジェイロ」と言って真っ先に思い浮かぶのは、カエターノ・ヴェローゾの89年のアルバムだ。アート・リンゼイ、ピーター・シェーラーをはじめとするニューヨークのミュージシャンたちとともに、カエターノは、摩天楼のエキセントリックな喧噪を異邦人の耳で切り取った。さらに遡れば、ロンドンでの亡命時代に彼が残した作品を思い起こすこともできる。そこには悲哀、鬱屈に沈む「エストランジェイロ」の痛々しい姿があった。理不尽な政治の力が暗い影となって彼を覆っていた。

比べれば、21世紀の「エストランジェイロ」たちは、おそらくもっと身軽だ。ブラジルとニューヨークの往還は、カエターノの「エストランジェイロ」以降もっと緊密なものとなり、ミュージシャン同士の交流も活発だ。ノラ・ジョーンズがヴィニシウスのアルバムに、坂本龍一やビル・フリゼールと並んで参加する。もっとカジュアルで、フレンドリーな交歓がそこにはある。「トリオ・エストランジェイロス」には、だから、かつてカエターノが生きなければならなかった異国での苦しみや痛みはないかもしれない。今回の日本公演で彼らに何かカヴァー曲を披露してくれるようにお願いしたところ、真っ先に帰ってきたのは、ジョルジュ・ベンの「Umbabarauma」だったそうだ。それでもやっぱり、その音楽からは「サウダーヂ」が溢れてやまないはずだ。ジェシーとダヂが、その言葉に面白い定義を与えている。
 
「大事な人がそばにいてくれたらいいのに、と想う心」(ジェシー)
「誰かの存在は感じるのに、その人がいないとき」(ダヂ)
 
サウダーヂは「故郷」に対して抱くものではあるにせよ、それはもはや「国」や「地域」を意味しない。サウダーヂは「友」のなかに感じるものだ、と彼らは言う。友がいる場所。そここそが、エストランジェイロスにとってのただひとつの「故郷」なのだ。
 
(text by 若林恵)