SONG X 065
ギタリスト山口廣和の即興的で自由な楽想は、 情景を描くだけでなく、物や場所が持つ記憶を も音に投影する。古代から続く絃の響きを繊細 な指先に込め、瑞々しい感性で旋律を綴る。落合康介(ベース)、寺井雄一(サックス)、ヤヒロトモヒロ(パーカッション)が光の路へと導く音楽紀行。
VB Story by Hirokazu Yamaguchi
01. Lute song
クラシックギターの響きのルーツを遡ると古楽器に行き着き、何年か前に古楽のリュート奏者John Dowlandの作品を良く聴いていました。これはその頃に書いた曲で、古楽的なハーモニーに自分達が慣れ親しんだ現代ジャズのシャープな感覚を交えて制作しました。
02. mimic Gogo
ブラジルのサウンドもまた、ギターやパーカッションには馴染み深くとても好きなサウンドです。
ある日ピアノを弾いていた時、Egbert Gismontiの「Loro」と言う曲のメロディの一部を色んなキーで崩しながら遊んでいたらこの曲が出来ました。なのでロロを捩ってゴゴで、ものまね(mimic)という訳でして。
03. Rotisserie Faure
焼肉屋で定食を食べていたら店内でずっとフランス印象派のピアノ曲が流れていて、そのシュールなシチュエーションから生まれた曲です。ガブリエル・フォーレというよりは、モーリス・ラベルな感じかもしれませんが、フォーレの方が語呂が良かったので。
04. Have you danced
ダンス音楽をイメージしながら、いつかダンサーがこの曲で踊ってくれたらと思いながら作った曲です。他の曲もそうなのですが、私は作曲している時は特定の地域を意識していないので、漠然と民族音楽的な要素があったりします。それは「踊り」と「言語」を常に音楽に意識しているからかもしれません。
05. Lop ear
時間をかけて作曲する事もあれば、一筆で書き切る事もあります。この曲は後者です。短い曲に悩むこともあれば、長い曲がするっと書ける時もあり、両者に優劣は無く、関連性はあるのだなと感じます。
06. Reverse
逆回転のワルツ。頭からでもお尻からでも、どっちから演奏しても同じになる様に作った曲です。本当に同じかどうかミックスの時に逆再生をしてもらったら面白くなってしまい、今回の様な形になりました。出来た直後からこの曲に触れた方がそれぞれ色んなイメージを抱かれ、そのイメージがどれも面白く作曲者冥利に尽きます。
07. lop nur
落合康介が弾くモンゴル伝統楽器「馬頭琴」をフィーチャーした曲です。当初はチェロを想定した透明感のある曲として作ったのですが、馬頭琴で演奏する様になってからどんどん大陸的な曲調になり、今回の様な形になりました。メンバーの感性によって作曲者の意図から大きく変わっていくのも、バンドの醍醐味だと思います。
08. Hand me down
敬愛するアーティストの一人「Sting」から着想を得たレゲエ調の曲です。偶然にも同じ誕生日であることに喜びを感じつつ、普段はピアノで主に作曲するところを、ソロギターで気の赴くまま作りました。
09. Round the starred sky
文字による情報で音楽のイメージを誘導するのは何となく無粋だと思うこともあり、タイトルに特定の情景を想起するワードはなるべつ付けない様にしている節もあるのですが、この曲は書いた本人は星空のイメージ以外出て来ませんでした。それでも、タイトルとまったく違うイメージを抱いていただけたら、それはそれは嬉しく思います。
10. Oregon vortex
バンドの結成時からずっと演奏し続けている曲であり、バンド名Vortex Boxの由来にもなった曲です。オレゴンの渦はアメリカのオレゴン州で実際にある怪奇現象の場所です。また、私が20代の時に衝撃を受けたバンドOregonへの深いリスペクトでもあります。
11. Furiko
この曲だけは結成時の3人で録りました。長い旅路を終える様に。そしてこれからまた旅に出る様に。
FEATURED ARTISTS
CREDIT
Written by Hirokazu Yamaguchi
Arranged by Hirokazu Yamaguchi’s Vortex box
Recording engineer : Takahiro Yamaguchi (Magic Mill Sounds)
Director of Photography: Yuri Manabe
Video Editor: Makoto Miyanogawa (Song X Jazz Inc.)
A&R Director/Production : Makoto Miyanogawa (Song X Jazz Inc.)
Creative director : Kei Wakabayashi (blkswn publishers)
Associate creative director : Hironori Nakahara (nD inc.)
RELEASE DATE